風営法第2条1項において規定する『ダンス』とは、「社交」性に比重の高いダンスを対象にしています。
それは、そのような「社交」に比重の高いダンスにあっては、人と人との交際の中でも男女間の交際を主たる目的としており、その本質にかんがみ、男女間の享楽的雰囲気が醸成されるものであることから、
当該ダンスに係る営業の行われ方によっては、そのような享楽的雰囲気が過度にわたり、風営法の目的(善良の風俗と清浄な風俗環境の保持、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止)を阻害するからであると言われています。
社交ダンスのような男女がペアとなって踊ることが通常の形態とされているペアダンスは、男女間の享楽的雰囲気が過度にわたる可能性があるから善良の風俗を害するおそれがあるというわけで、このような男女がペアになるダンス営業行為が規制されています。
これに対して、風営法第2条1項4号では、以下の規定に該当するダンススクール営業は、風俗営業から除外しています。
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客にダンスを教授するための営業うちダンスを教授する者が客にダンスを教授する場合にのみ客にダンスをさせる営業
これは、ダンススクール営業は、技能及び知識の教授を主たる対象としていることから、男女間の享楽的雰囲気が過度にわたることなく、したがって、風営法の目的である善良の風俗を害するおそれはないとされるからです。
ただし、ダンスを教授するダンススクール営業なら、すべて風営法の規制対象外になるという意味ではありません。
ダンススクール営業におけるダンスを教授する者(ダンスインストラクター)に一定の要件が必要とされています。
風営法第2条1項で、下記のように規定して一定水準以上の技能・知識が備わっていることを要件としています。
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政令で定めるダンスの教授に関する講習を受けその課程を修了した者その他ダンスを正規に教授する能力を有する者として政令で定める者に限る。
このようにインストラクターに一定の要件が必要とされているのは、
ダンススクール営業は、本来的に男女間の社交を主たる要素とするダンスにつき教育を行うものであるところ、営業者等と客とが、ダンスの知識・技能の教授・習得という共通の目的の下に、ある種の師弟関係に立つことによって、初めて男女間の享楽的雰囲気が醸成されなくなるものであるから、
このことの当然の前提として、ダンスインストラクター等ダンスを教授する側に一定水準以上の技能・知識が備わっていることが必要だというわけです。
このことから、ダンススクール営業において、資格のないダンスインストラクター等がダンスを指導する場合には、風営法の許可が必要になりますので注意が必要です。
では、どのようなものが、政令で定めるダンスの教授に関する講習というのか、また、ダンスを正規に教授する能力を有する者として政令で定める者なのかは、平成24年に改正され、風営法施行令、施行規則に定められています(平成24年11月21日に公布、施行)。
このように、ダンススクール営業はじめ、ダンスに関する営業形態は改正等の動きもあり、これから営業を開始する場合は最新の情報に注意する必要があります。